建設機械を取り扱う企業のコスト削減戦略


今日は私が長年勤めてきた色々な企業、自動車会社、それから建設機械会社、いろいろなところで購買の仕事をしてきたなかで建設機械の会社のコスト削減の手法についてお話ししようと思います。

私が昨年まで顧問をしていた中国の三一重工、ここは常にベンチャマーク競争相手として日本の企業のコマツや日立建機コベルコ、アメリカのキャタピラなどこういった大手の会社の購買戦略を参考にしてきました。グローバルで原材料や部品を調達するということはどんどん進んでいる今の時代ですがまだまだ中国企業はグローバル化においては発展途上です。かたや日本のコマツや日立建機、アメリカのキャタピラのグローバル化はかなり進んでいます。実際には購買もコスト削減だけではなく環境性能や循環型リサイクルなどさまざまな取り組みをしてきています。部品の標準化、共通化を行ったり共同購買をしたり様々な戦略を先頭に立ってやっているというのが今の時代です。

日本やアメリカメーカーの購買部門が行うコスト削減戦略

ではそのコマツや日立建機、キャタピラがどのようなコスト削減の戦略を行っているのか購買部門の立場から解説しようと思います。

実際に私が2018年の11月の下旬に上海の建設機械展示会を見てきたときの体験をもとに話をしていきます。会場には世界各地の大手メーカーの建設機械が並んでいました。見た目はほとんど違いはありませんでした。

実際には建設機械の画像を見ながらお話をさせていただきます。私が2018年の11月の下旬に上海の建設機械展示会を見てきたときに世界各地の大手メーカーの建設機械が並んでいました。見た目はほとんど変わりありませんでした。

中国の上海 、中国という市場が非常に大きいということもあり世界各国のメーカーが出店をしていました。私が三一重工で指導するにあたって今まで私が仕事をしていたBMWや三菱電線で培われたグローバルな購買の知識これは随分生きています。

原材料や部品は世界各地からより良いものをより安く調達するということで国際的な調達がどんどん進んでいますが、実際には世界各地で建設機械がどこにどれだけ売れるかによって、できるだけ消費地や顧客に近いところで工場を建てそこから出荷するということが理想です。 現実はなかなかそううまくはいかないですが、いかに完成品を短距離輸送するか、これによって輸送コストを減らすのがゴールです。その後のメンテナンス、補修部品の供給サービスなど色々な面で顧客の利便性を高めたいことを考えるのであれば、かなり過酷な環境で使われる建設機械の補修部品、重たい金属の部品が主になる建設機械の補修部品等はできるだけ近距離の輸送で、できるだけ短納期で供給したいということになります。

部品の標準化で行うコスト削減

実際に今、建設機械がどこで売れているかというと南アメリカですとか中東、アフリカ、東南アジアなどの発展途上国ないしはインフラストラクチャー、社会資本がまだまだ充実していない地域です。こういった地域で高速道路、鉄道や住宅、色々な都市の整備基盤これまだ遅れているところで建設機械は使われます。こういったところへ製品を供給するだけではなく使っているところで必ず消耗品、補修部品を供給するという必要が出てきます。自動車のサービス工場と違って建設機械が活躍する場所は道路がなかったり、そばにサービス工場がない山奥だったりと非常に厳しい環境であるわけなのでさらにどんどん補修部品を変えていかなければならないという要請があります。その体制を築くということが非常に重要です。

アフターサービス部門の仕事では、補修部品を調達するのはまずサプライヤーの選定、実際に補習用で使われる部品の購買は購買部門がサプライヤーと交渉することになります。実際に新製品の生産のための部品調達と補修部品の調達は同じ場合で管理する場合と違う部門で管理する場合と、いろいろなやり方があります。中国の三一重工ではメーカーは一緒でも管理するのがアフターサービス部門と購買部門とで別々でした。実際にはさまざまな補修部品の中でもかなり頻度の高い交換比率のエンジンオイルやエンジンフィルターだとか摩耗が激しい金属部品、クローラーの部分ですとかリアリング、油圧部品などを取り揃えるということになりますが、できるだけ部品の在庫の管理を軽減するために部品の共通化、標準化を図っていくということを目指します。

世界各国、国によって様々な規格があります。例えば日本ですと日本工業規格、JIS規格というものがあり、それに各メーカーが揃えていきます。中国や世界の標準というものは必ずしも同じというわけではありません。できるだけその標準規格を国ごとでバラバラにせずに揃えていきたいというのが各メーカーの考え方です。それが進んでいるのがキャタピラーやコマツ、日立建機です。

グローバルで部品の共通化、標準化は進んでいます。それによってメーカーにサプライヤーに発注する部品の点数かなり絞られる、その結果生産効率が上がってコスト削減につながります。かたや中国の三一重工は顧客の意見を優先させてカスタマイズや標準化というのがなかなか進んでいません。その結果として少量、多品種の部品を各サプライヤーにお願いするときに非常に生産効率が悪い、納期管理が難しい、在庫も膨大になる、補修部品が供給しきれないなどというようなデメリットがあります。こういったデメリットをできるだけ減らすために私が中国で三一重工に指導したのが部品の共通化、標準化、事業部ごとのバラバラになっている設計をできるだけ揃えるという取り組みです。例えば油圧ショベル、コンクリートポンプ車、ダンプカー、エンジンがもし同じ排気量であればできるだけ揃えるという取り組みをすでにキャタピラーではやっています。油圧ショベルと他のブルドーザーやモーターグレーダーなどいろいろある建設機械の中で全てが同じわけではないんですがかなりの部品のないしはエンジンや設計の共通化、標準化というものを図っています。そのおかげで在庫する部品の点数がかなり絞られ、逆に1品目あたりに発注数量は多くなることでコスト削減はかなり進んでいます。

もちろん小型から大型までいろんな種類があるので部品の点数がどうしても多くなりますがその中でも売れ筋の商品というものはたくさん種類がある中でごく一部の商品です。例えば油圧ショベルでいけばミニのショベル、それから中間のサイズと大型のサイズ3品目で全体の売り上げの80%から90%近くを占めています。私も三一の製品のラインナップと売れている販売台数、調達する部品のエンジンの修理の数を分析したことがあります。車種が3から5の中ででどれだけの売り上げのシェアを占めているかを確認しましたが、各事業部ごとで何十種類もある中でその品目が占めるシェアはやはり80%以上いう結果になりました。なのでどれだけその売れているところに部品を合わせるかそういう設計をするかと設計担当者ごとでバラバラにやっていたのが中国。個人個人のKPIで新製品を開発するという目標を立てた結果そのような部品が共通化することから逆行するということになっていました。こういうことを防ぐということがコスト削減につながります。

BMWも車台をできるだけ揃えていく、エンジンの共通化を図ると3シリーズ、5シリーズ、7シリーズ、3000ccのエンジンであればどのシリーズでも積めるというようなエンジンの設計にしてみたり。前照灯など色んな部分で共通化が図れるものもたくさんあるのでそういったものをできるだけ揃えるという取り組みをしています。トヨタも最近プラットフォームを共通化することによって様々な車種の車両がかなり部品点数をトヨタ全体で減らす取り組みをしていることがわかりました。

今日は建設機械のコスト削減の手法の中で部品の標準化、共通化グローバルな調達における国際基準、JIS規格や様々な規格にどこまで対応するのか顧客のカスタマイズのニーズに対してどこまで相反する共通化、標準化に重きを置くのかという話をしました。

これについてはさらに詳しい話をしていきたいと思います。今日はここまでになります。

是非コスト削減に対する意見、質問、コメントをお寄せください 。本日は以上です。

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