抗菌薬の選択を迅速に行える
2019年10月3日、国立大学法人富山大学大学院、株式会社日立製作所は、敗血症患者に対し有効な抗菌薬判定が出来る検査フローを検証したと発表した。
これにより、採血から検査結果が出るまで3日掛かっていた時間を約1日程度に短縮できることになり、敗血症患者の救命率向上や医療費の低減につながる。
なお、この研究は富山大学患者の血液検体と63種類の大腸菌株を用い、日立のATP発光計測技術により実現した。
従来検査では、多くの工程を経ないと結果が出ない
敗血症患者の原因菌特定には、3回の培養工程が必要で、採血から結果が出るまでに3日ほど掛かっていた。
しかし、この3日間は患者に特別な治療をするわけでもなく、効果があるかどうかわからない抗菌剤を投与されることとなり重症化したりするリスクが高まる。
それにこの抗菌薬の投与は、新たに耐性菌を発生させる可能性があるため、早急な原因菌の特定が必要となる。
今回の研究では、従来方式と同等の精度を保ったまま、迅速な検査が可能となったことで、これらのリスク低減が期待される。
敗血症は、進行が早く意識障害が起こりやすい
敗血症と聞くと、細菌感染による多臓器不全というイメージがあるが、ウイルス、真菌、寄生虫など原因は多岐にわたる。
この感染症に罹ると、発熱、頻脈、SIRSと呼ばれる全身の炎症が起きるが、最も怖いのが敗血症性ショックである。
進行すると、意識障害を起こすことが多くあり、仮に回復した後にも後遺症が残る可能性が高くなる。
今回の迅速な検査方法の確立により、重症化を防げると期待される。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
日立製作所HP
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2019/10/1003.html