三菱電機・東工大・鹿児島大、「土木インフラ維持管理計画の作成支援技術」を開発

高度経済成長期に建設された土木インフラが一斉に老朽化

2019年12月2日、三菱電機株式会社(以下、三菱電機)、国立大学法人東京工業大学(以下、東工大学)、国立大学法人鹿児島大学(以下、鹿児島大)は、道路・鉄道管理者の意図に沿って、土木インフラの長期にわたる維持管理計画を容易に作成できる「土木インフラ維持管理計画の作成支援技術」(以下、同支援技術)を開発したと発表した。
高度経済成長期に建設された土木インフラが一斉に老朽化し、更新時期を迎えていることに伴い、国土交通省は、自治体や道路会社に対して、橋梁やトンネルなどの5年に1回の目視による定期点検を義務付け、壊れる前にこまめに補修する予防保全への転換を推進している。
しかしながら、予防保全には長期にわたる維持管理計画を作成する必要があるものの、管理対象となる土木インフラの数が膨大であるため、計画を人手で適切に作成するのは容易でない。
このようななか、橋梁を対象に、劣化進行のモデル化と多様な維持管理目的を指標化し、最適化問題として解くことで、維持管理計画案として提示できる同支援技術を開発した。
なお、同支援技術は、鹿児島県薩摩川内市の協力を得て開発し、同市が管理する橋梁を対象とした実証を2019年11月から開始した。

「土木インフラ維持管理計画の作成支援技術」の概要

同支援技術では、コンクリート橋の劣化進行に大きく影響するひび割れなどの損傷に着目し、劣化の進行速度を予測する「劣化進行モデル」を考案するとともに、損傷の種類と度合いに応じて補修コストを算出する「補修コストモデル」を作成した。これより、個々のインフラに応じた適切な補修時期を予測できる。
さらに、両モデルを組み合わせた「劣化・コスモデル」により、劣化進行に対応した補修コストの見積もることで、劣化が深刻になる前に補修して寿命を延ばす予防保全のために、必要なコストと効果の見える化が可能になった。
また、「災害時の避難経路確保を最優先にしたい」「コンクリート片落下による被害を防ぎたい」など、管理者が持っているさまざまな維持管理目的を、要補修レベルや、落下物被害による経済損失などの指標に変換し、最適化問題として解くことが可能になった。これより、管理者が優先する目的を的確に反映し、管理者の意図に沿った維持管理計画を作成できる。
(画像はニュースリリースより)

▼外部リンク

三菱電機株式会社 ニュースリリース
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2019/1202-a.pdf