目標とする水質の実現と電力消費量削減を両立
2020年1月22日、三菱電機株式会社は、下水処理に必要な酸化処理を行う生物反応槽への流入水の水質(アンモニア濃度)を高精度に予測することにより、生物反応槽への過剰な曝気(ばっき、空気供給)を抑制する曝気量制御技術(以下、同技術)を開発したと発表した。
国内の下水処理では、全国の年間電力消費量の約0.7%(一般家庭約168万世帯の電力使用量)に相当する電力が使われている。また、一般的な下水処理では、一次処理した下水からアンモニア等を除去するための微生物反応において、必要な酸素を送り込む「空気供給(曝気)」で、使用電力の約半分を消費している。
このため、目標とする水質の実現と電力消費量削減を両立する曝気量制御が課題となっていた。
AIを活用して過剰な曝気を抑制
同技術では、生物反応槽への流入水質(アンモニア濃度)をセンサーで取得し、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」を用いて、数時間後の流入水質を高精度に予測するとともに、フィードフォワード制御と従来のフィードバック制御を組み合わせて、過剰な曝気を抑制している。
また、生物反応槽の区画ごとに適切な曝気量となるように制御することで、処理水質を維持しながら、曝気量を従来比約10%削減できたとのこと。
今後も、実運転における制御の安定性や曝気量削減効果を検証し、国内外の下水処理場向け運転監視制御システムとして、2020年度の事業化を目指すとしている。
(画像はニュースリリースより)
▼外部リンク
三菱電機株式会社 ニュースリリース
http://www.mitsubishielectric.co.jp/