東芝、角度を直接検出する高精度ジャイロセンサーの小型モジュールを開発

物体の向きを計測するジャイロセンサー

2020年01月22日、株式会社東芝(以下、東芝)は、大型の計測制御装置等を必要としない小型モジュール(以下、同モジュール)の開発に世界で初めて成功したと発表した。
物体の向き(角度)を計測するジャイロセンサーは、航空機や飛翔体などの大型機材からスマートフォン等の小型民生機器まで、幅広く利用されている。さらに、ドローン・ロボットやモビリティの自動運転、あるいは工場内での作業者や無人搬送機の位置計測などの用途で、小型・高精度かつ高速応答性のジャイロセンサーが求められつつある。
しかしながら、従来のジャイロセンサーでは、直接測定するのが角速度であり、演算処理によって角度を算出していたため、応答速度・精度や小型化において限度があった。
このようななか、東芝は、MEMS技術を用いて、角度を直接検出し、高精度かつ高速応答可能なジャイロセンサー「Rate Integrating Gyroscope」(以下、RIG)を開発した。

角速度ではなく角度を直接検出

RIGは、地球の自転角度を計測できるフーコーの振り子と同じ物理的原理で、物体の角度を直接検出できる。
この際、検出に用いる振動子を完全に対称な構造にする必要があるが、製造時の加工誤差のため、非対称性が発生することが課題となっていた。
そこで、東芝は、独自技術の抵抗型可変ダンパーを導入して非対称性を補正するとともに、温度が変化しても縦横の振動特性が等しく変化し対称性が保たれるドーナツマス構造の振動子を採用して、高精度・小型化を実現した。

今後の展開

今回開発した同モジュールの精度と応答性をさらに改善し、2021年度以降を目処に、サンプル出荷が可能となるレベルまで技術完成度を高めるとのこと。
さらに、同モジュールを搭載し、三次元空間での角速度と加速度を測定する慣性計測装置の開発を進めるとしている。
(画像はニュースリリースより)

▼外部リンク

株式会社東芝 ニュースリリース
https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/2001_02.htm