初めての人も技術者も理解できる「レーザ加工技術の基礎、ノウハウとその応用」
ソノヤラボ株式会社は、今までに蓄積したレーザ加工技術のノウハウも含めて、基礎からレーザ技術の製品への応用までの幅広い技術をまとめて書籍として、㈱シーエムシー・リサーチから出版しました。レーザ技術の原理、特徴、今まで蓄積したノウハウ、最新技術、課題を横断的に幅広く説明してあります。これからレーザ加工を始められる企業の方々、レーザ加工をされている技術者、研究者の方々も本書籍をご利用ください。
= 刊行にあたって =
太陽の光は、虹の7色と赤外線・紫外線などの光が混じった混合された光で、360度すべての方向に拡散します。レーザとは、この内1色のみを取り出して、増幅させた人工の光です。このレーザは、数多くの優れた特性があるため、金属の切断、溶接、表面処理から、プラスチック、ゴムなどの有機材料の加工にまでアプリケーションが拡大しています。
例えば、レーザは指向性と集光性が良いため、微細加工幅あるいは微細加工面積での加工が可能であり、最近は、ファイバーレーザ、半導体レーザなどの様に、紫外域の短波長レーザや短パルスレーザを用いて更に加工精度の改善がされています。また、レーザビームをレンズに集光することにより高密度エネルギーを得られるので、ほとんどの材料(金属、ガラス、有機材料など)を溶融もしくは蒸発させることができます。更に、TIG溶接やMIG溶接と比べ、溶融ビート幅が狭く溶融深さが大きく、熱影響層や溶接ひずみの小さい接合が可能です。レーザ加工では、このように小領域にエネルギーを集中し、非常に効率的に材料の溶融あるいは蒸発を起こすので、切断速度や溶接速度を大きくすることもでき、光合成、光分解、合金元素添加の利用も可能です。レーザ加工技術は産業界の発展に大きく寄与していく、これからの技術であると考えられます。
本書では、各種製品の設計、製造に関わっている技術者、レーザ加工関係の仕事をされている技術者、また将来これらの分野に進まれる予定の学生を対象にして、各種分野で適用可能な主なレーザ加工技術(接合、肉盛、切断、表面熱処理、ピーニング、その他)の知識とその応用について記述しました。また、自動車をはじめとして、原子力発電設備など各種分野への適用事例について述べました。更に、最近の新技術についても紹介しました。今までに出版されたレーザ加工分野の書物は、レーザ溶接、レーザ切断などのように一つか二つの技術に絞った内容のものがほとんどであり、レーザ加工技術を横断的に幅広く説明したものはあまりありません。従って、本書では、各種のレーザ加工技術について、横断的にその原理、特徴、課題、その応用方法などを出来るだけ具体的にわかり易く説明し、レーザ加工技術がどのような技術なのかを理解できるようにしました。
1章では、先ずレーザの基本的な特性、課題について説明し、次にCO2レーザ、YAGレーザ、半導体レーザ、ファイバーレーザ等の主なレーザについて、そのメカニズム、特徴などの基礎的な知識について具体的に説明しています。
2章では、各種のレーザ加工技術(レーザ切断、レーザ溶接、レーザ精密加工、レーザブレージング、レーザクラッディング、レーザ合金化、レーザ焼入れ、レーザピーニングなど)について、各々その原理、特徴、課題等を他の従来法(アーク、プラズマ、溶射、高周波など)と比較評価しながら説明しました。また適用事例についても述べました。
レーザクラッディングの項では、造形技術としても利用できるため、近年注目されているアディティブマニュファクチュアリングについてもその特徴と応用例に言及しています。
ソノヤラボ(株)代表 園家 啓嗣