風力発電ブレード落下事故から学ぶ、FRP構造物の見えない劣化のリスクとその対策 【FRPエンジニアによるコラム】より

風力発電ブレードに多く使われるFRPの劣化は外観からはわかりにくい

風力発電のブレードは、多くがFRP製です。軽量かつ高強度で腐食に強いFRPは、巨大構造物の回転部材に最適ですが、その一方で

「見た目では劣化が分かりにくい」

という課題を抱えています。

紫外線、風雨、雷、温度変化、振動…。これらの複合的な環境負荷は、目視や簡易打音では検知できないFRPの破壊につながる内部劣化を引き起こすことがあります。

特に日本のような四季があり、台風や積雪といった過酷な環境に置かれたブレードは、設計寿命を迎える前でもこの劣化が進行することが珍しくありません。また、設計要件基準が前出の環境負荷を十分に考慮できておらず、不十分の可能性もあるでしょう。

FRPに関する慣習を変えることへの当社の挑戦

当社では、長年にわたり一般工業製品を想定した耐食FRPの劣化診断の取り組みを継続し、様々な経験に基づいて技術を向上させてきました。

目視、触診、硬度、超音波、浸透探傷など、複数の診断技術を組み合わせることで、FRP構造物の健全性を総合的に評価しております。具体的には国内の化学プラント、上下水道施設、貯槽タンク、さらには海外企業工場での技術評価案件でも、“見えない劣化のリスク”をあぶりだすことを中心に、劣化診断を行ってきました。

今回の事故を「他山の石」としないために、風力発電に限らず、FRPを使用している施設の管理者の方にはぜひ一度、人的被害を想定した設計の徹底に加え、FRP専門の診断の重要性を再確認していただきたいと思います。

安全・安心を守る第一歩は、「まだ大丈夫」ではなく、「いま診断しておこう」 という発想により、劣化の兆候をいち早く捉えることに違いありません。

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