はやぶさ2に用いたマイクロ波プラズマ源を真空下での除電器として使用
2019年10月8日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)と春日電機株式会社(以下、春日電機)は、共同で従来の真空除電技術と比べて100倍以上の速度で真空中の帯電した物体を除電できる除電器の開発に成功したと発表した。さらに、春日電機は、同共同研究の技術を活用した「マイクロ波プラズマ除電処理システム」(以下、同除電処理システム)を開発したと発表した。
JAXAは、宇宙探査の際に、機器に付着すると故障や機器能力の低下を招くダスト(月面や小惑星表面などに存在する微粒子)を制御するため、真空中での帯電問題を取り扱ってきた。
一方で、春日電機は、放電やダスト付着を引き起こし歩留まり低下の原因となる真空中での帯電を抑制する除電器の研究を行ってきた。
このようななか、JAXAは、はやぶさ2に用いたマイクロ波プラズマ源を真空下での除電器として使用することを春日電機に提案し、その除電能力を評価するため、両社は、2017年8月に共同研究契約を締結した。
共同研究の概要
同共同研究において、JAXAは小型プラズマ源の技術を提供するとともに、除電器に適したプラズマ源を開発し、春日電機は除電技術に関する知見と真空中での除電能力の測定技術を提供した。
この結果、開発した除電器は、従来の真空除電技術に対して100倍以上の速度で正または負に帯電した物体を除電できることを示したとのこと。
「マイクロ波プラズマ除電処理システム」の概要
同除電処理システムでは、マイクロ波プラズマ源を真空槽に設置し、プラズマ源で生成したイオンと電子により、帯電した物体を受動的に除電する。
また、小型で高真空下でも動作し、イオンエンジンの特性により、5万時間以上の長時間動作試験をクリアしている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
JAXA プレスリリース
http://www.jaxa.jp/press/2019/10/20191008a_j.html