自動車部品製造で培った品質管理
当社は1996年に自動車メーター用精密シャフトの製造工場として設立した。設立当時は同製品を主力として順調な売上を維持していたが、2008年のリーマン・ショック、さらに東日本大震災の影響で売上が低迷してしまう。11年12月に西村真理子(現社長)へトップが変わり、以前から医療機器製造販売業の許可を取得していたこともあり、歯科機器の通販会社と連携して売上を回復した。創業時から続く精密シャフトの生産から、心臓カテーテル部品、さらに歯科機器分野への進出で、業績を順調に伸ばしている。
自動車計器部品から歯科医療機器への販路拡大で、2020年現在当社は売上が安定している。しかし現社長・西村真理子はさらなる新分野へ手を伸ばすこととした。創業当時十分な売上を伸ばしていた製品だけで満足し、歯科機器に目を向けていなかったら会社は当の昔に破産していただろう。次なる進出先は「宇宙ビジネス」だ。現状ではまだ受注には至っていないが、積極的に展示会で告知を行っている。
まずはひとつ、宇宙に飛ばす。
宇宙ビジネスの第一人者である東京大学の中須賀教授との対談の機会があり、そこで当社の所有する「チタンの複雑な加工技術」が超小型人工衛星の冷却装置に活用できることを教えて頂いた。その冷却装置は具体的にどのような形状なのかを調査してみたところ、同社で製造している歯科機器と形状が酷似していることが判明した。
当社は現在、医療機器の収益が安定しているため、宇宙関連部品のサンプルの製造を無償で引き受け、大きな売り上げに繋げたいと考えている。目標として、医療機器メーカーとしての宇宙ビジネスへの参入「第一号」を目指している。