新しい素材に対する消費者の安心感は、企業イメージに依存しており、消費者の専門知識の不足は風評被害の拡大を後押しします。食の安全性への懸念が高まる中、株式会社装舎の共創プロジェクト「まかせた」の第1段階として、新昆虫素材解析プロジェクトが400種類以上の成分を解析したことを報告します。これは食の安全を個別の製品だけでなく、フードチェーン全体の安全性を確保する革新的な仕組みを構築する第一歩となります。
共創プロジェクト「まかせた」とは
「まかせた」プロジェクトは、株式会社装舎が異なる専門分野の企業との連携を通じて、”信頼と信頼の深化”を基盤に、持続可能な解決策の追求に取り組む共創プラットフォームです。
「まかせた」は、他の企業や組織に対して、その専門知識や技術、経験に対する信頼を互いに寄せ、共同でプロジェクトをスピーディーに進めるという意味を持ちます。
組織間の協力と専門知識の共有を通じて、新たなアプローチの探求や革新的な成果を生み出し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的としています。新昆虫素材解析プロジェクトチーム
新昆虫素材解析プロジェクトは、株式会社島津製作所(本社:京都府京都市、代表取締役:山本 靖則)、株式会社null(本社:東京都千代田区、代表取締役:谷亀 麻衣)、株式会社BugMo(本社:京都府京都市、代表取締役:松居 佑典)とのパートナーシップのもと進行しています。「まかせた」新昆虫素材解析プロジェクトチームは、2023年3月29日に京都市、京都市産業技術研究所主催・京都市バイオ計測センター研究交流発表会での発表を契機に、学会やシンポジウムなどでポスター発表・展示を行い、研究成果報告をハイスピードで実現し、それと共に新たな発見を重ねてきました。本プロジェクトは、食用としての昆虫を含む「昆虫素材分野」における持続可能な生産体制の確立と品質の向上による安全性の確立を目指しており、先端技術の活用と業界間の協力を通じて、多様なニーズに応える新しいアプローチを探求しています。
- 組織の垣根を越えたコラボレーションを実現:
組織間の協力と連携を強化し、持続的な価値を提供する新しいビジネスモデルを構築することを目的としています。新昆虫素材解析プロジェクトチームは、分析計測機器のリーディングカンパニーである株式会社島津製作所、ヘルスケア分野の研究開発経験を持つ株式会社null、食用昆虫産業化に関する知識・経験を持つ株式会社BugMoで構成されています。- 先端技術を用いた分析評価の効率化と多様なニーズへの訴求力向上:
島津製作所の最新分析計測機器を活用し、昆虫に含まれる成分を効率的かつ詳細に分析することで、食用昆虫として当初期待されてきた「代替タンパク源」のみではない、「昆虫素材」として多様なニーズに応える、高品質な昆虫原料の開発を目指しています。- 昆虫素材分野における生産体制、評価手順の見直しおよび生育状況の影響等の調査:
昆虫は生産体制や栄養成分の評価方法の規格がなく、基準となる実績も不十分です。生産体制や評価手順の見直し、昆虫の生育状況や給餌条件などが与える発育への影響、温湿度の影響などについての詳細な調査を行い、昆虫原料としての安定供給と品質向上に取り組んでいます。
未来の原料に革新的一歩:共創プロジェクト「まかせた」の新昆虫素材解析プロジェクト、約400種類のコオロギ成分を解析【株式会社装舎】
株式会社装舎率いる共創プロジェクト「まかせた」が、新昆虫素材解析プロジェクトを開始。400種類以上の成分を徹底解析。
実施内容
昆虫素材分野は持続可能性や栄養価の面で注目を集めています。しかしながら、これまでの技術や知見が不十分であったため、昆虫の成分や品質に関する詳細な分析が困難でした。
- 複雑な成分構造の分析困難性:
昆虫は多様な成分を含んでおり、それらの成分の構造や量を正確に把握するための分析技術の確立が必要 - 詳細な分子レベルの分析の欠如:
昆虫成分に関する詳細な分析の網羅的解析は行われておらず、ヒトに対する有用性や有害性についての評価材料が不十分 - 高度な分析技術の不足:
昆虫の成分を包括的に把握するための先端技術やメソッドの導入が進んでいなかったため、効率的かつ詳細な分析が困難
専門知識と先端技術のシナジーによる成果
本プロジェクトでは、島津製作所の最新分析機器である高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060NX」と「LC/MS/MSメソッドパッケージ」を活用し、昆虫に含まれる累計400種類を超える化合物について詳細に分析しました。その結果、昆虫を正しく評価するための生育管理や処理方法を確立し、ある種のコオロギに含まれる特徴的な成分を同定しました。
当該成分はヒトの健康に対する有効性も報告されており、当プロジェクトでは更に解析を行います。また引き続き研究成果を国内外のジャーナルにて報告していく予定です。
【発表実績】
日本質量分析学会International BMS Symposium、メタボロームシンポジウム、新アミノ酸分析研究会学術講演会、分析イノベーション交流会、日本栄養代謝学会学術集会
【分析に使用した機器およびパッケージ】
LCMS-8060NX
LC/MS/MSメソッドパッケージ
【学会にて発表したポスター内容】
ポスターダウンロードページ
*株式会社nullのホームページへとびます
今後の展望
本プロジェクトの成果は、昆虫素材分野として新しい生産体制や品質管理の改善に寄与することが期待されます。得られた詳細な成分情報を基に、新たな商品開発や製造プロセスの最適化が可能となり、昆虫素材の品質向上や多様なニーズに応える新製品の開発が加速され、マネタイズまでを含めたプロジェクト共創を実現します。
さらに、この成果は他の食品素材や産業にも応用可能であり、未来の持続可能な食品生産や資源の効率的な利用に貢献することが期待されます。
京都市「お試し立地支援制度」
本プロジェクトチームメンバー株式会社nullの京都市への進出及び市内での活動にあたり、
京都市「お試し立地支援制度」を活用いたしました。京都市さまには改めて感謝申し上げます。
株式会社装舎とは
私たちの事業は、リベラルアーツの思想を基盤に、幅広い知識と多様な視点を活かした総合的なアプローチを採用しています。単なる専門知識だけでなく、文学、哲学、歴史、社会科学、自然科学などの多様な分野からの知見を取り入れることで、独自の価値を創出します。
この総合的なアプローチにより、新しい視点やアイデアを生み出し、批判的思考力、問題解決能力、倫理的判断力を養成します。これにより、社会的価値の創出と持続的な成長を実現することを目指しています。
時代の変化や新たなニーズに迅速に対応し、社会全体の発展と共に事業の成長を目指すことで、リベラルアーツの価値を実践する企業として、持続可能な未来を築いていきます。
■本件に関するお問い合わせ
株式会社装舎
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町134 京都リサーチパークASTEMビル8F
TEL. 050-1808-8557
URL. https://sou.works/
E-mail. co@sou.works
(画像はプレスリリースより)